

ピル(経口避妊薬)は、毎日忘れずにきちんと服用すれば、ほぼ100%の避妊効果をもたらします。さらにピルの効果は避妊効果だけではありません。生理日をずらしたり、つらい月経痛を緩和したり、月経前の体調不良や心理的な不安定を軽くしたり、等々の副次的効果もあって、いずれも活用されています。生理全般にわたる悩みを解消するピルは、正に女性の味方なのです。
上記のように、現在、ピルはさまざまな目的で用いられます。
ご希望をお伝えくだされば、それに応じた処方を検討いたしますので、遠慮無くご相談ください。
など
低用量ピル(OC:Oral Contraceptives)の避妊効果はほぼ100パーセントで、しかもとても安全です。以前、低用量ピルの服用により、乳がんが増える可能性が指摘されていましたが、現在は否定されています。
それどころか、卵巣がんや子宮体がん、大腸がんのリスクを減少させる作用が知られていますし、月経困難症、過多月経、子宮内膜症、不規則な月経周期などに対する治療効果も認められています。また、将来の妊娠に悪影響を及ぼすこともありません。さらに、よく耳にする体重増加に関する心配も不要です。
ただ、まったく副作用が無いわけではありませんが(いちばん懸念されるのは血栓症のリスクです)、当院では服用禁忌(服用してはいけない条件)に触れないかどうかをよく考慮しながら、慎重に処方しておりますので、ご安心ください。
低用量ピルは、もともとは避妊目的に開発され、使用されてきたわけですが、副次的な効用もいろいろと知られており、近年では、避妊以外にも下記のような用いられ方がなされます。
生理痛を緩和し、月経を正常な状態に整えます。また月経血の量を減少させ、貧血を改善します。
月経前の体調を整え、また精神面の安定をもたらします。
ホルモンバランスを整え、にきびを改善します。
がんをはじめ、さまざまな婦人系疾患を予防します。
基本的には3週間、1日1錠ずつ決まった時間に、忘れないように飲み続け、残りの1週間を休薬期間とします(21錠タイプ)。
種類によっては、ピルを飲まない期間、再開時の飲み忘れを避ける目的で“プラセボ錠”と呼ばれる偽薬を服用させる「28錠タイプ」もあります。
避妊をしないでセックスしてしまったとか、コンドームが破けるなど避妊の失敗が起こったような場合、妊娠を防止する方法に“緊急避妊”があります。
その最も一般的な方法が、「アフターピル(緊急避妊薬)」と呼ばれる避妊薬の服用です。
アフターピルとは、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を成分とした薬剤です。
無防備なセックスが行われた後、72時間以内に、しかもできるだけ速やかに所要量のピルを服用します。
どうして緊急に避妊ができるのかについてですが、患者様の月経周期のどの時期に、アフターピルが服用されたかによって作用の仕方は異なってきます。
例えば「排卵を抑制する」「受精を妨げる」などが挙げられます。
妊娠の成立とは、受精卵が子宮内膜に着床(ちゃくしょう)することを言うのですから、いったん着床してしまい、妊娠が成立してからでは、アフターピルは無効になります。
そのためアフターピルの服用時期について繰り返しますが、無防備なセックスが行われた72時間以内(3日以内)に服用しなければならないのです。
アフターピルが妊娠を防止するとは言っても、100%というわけにはいきません。
正しく服用した場合でも、約2%に妊娠を防止できない場合があると言われています。
仮に、アフターピルが頻繁に使用されたとしても、低用量ピルを避妊目的で継続的に使用している女性に比べれば、妊娠率はかなり高くなってしまいます。
したがって、この方法は低用量ピルの代用とはなり得ないと、ご理解ください。
またアフターピルが本当に効いたかどうかは、服用後すぐにはわかりません。数日ないし数週間後に月経が来て、初めてわかるわけです。
もし、予定月経が一週間以上遅れたり、心配なことが出てきたりしましたら、早めにご相談ください。
アフターピルの安全性についてですが、世界中では、1970年代半ばから使用されてきており、半世紀近い歴史があって、その安全性は確立されています。
ただし、低用量ピルと同様に、アフターピルについてもやはり服用してはいけない人や、慎重な使用を要する人がいますので、少しでも不安な方は遠慮無くお尋ねください。
また、アフターピルの副作用に関してですが、一時的に少し気持ち悪くなったりする程度の軽いものです。
なお、アフターピルを服用しても効果が無く、妊娠してしまった場合についてですが、今まで知られている限りでは、異常妊娠であったり、赤ちゃんに異常が出たりといった報告はなされておりません。